どうも、ケビン松永と申します。
新卒で大手SIerに就職し、15年間システムエンジニアとしてサラリーマンをやっておりましたが、40歳の時に思い悩んだ末に独立してフリーランスSEに転身しました。
新卒以来、サラリーマンをやってきたわけですけども、思い切って決断したおかげで
- 仕事内容はサラリーマン時代の主任級
- 収入はサラリーマン時代の役員級
という最高の条件で業務委託の仕事を受託しております。
本当に、収入は能力や仕事の質ではなく「居る場所」で決まる」という事を身を以って感じております。
同じような仕事をしているにも関わらず、ポジションを変えていくだけで収入をアップさせるためには、業績が良くIT予算が潤沢なクライアントに、どれだけ浅い商流で食い込んで、業務委託を受託していけるがポイントとなっていきます。
当然ながら、クライアントから自分の間に 仲介する会社が挟まれば挟まるほど、経費が乗ってきてしまいますので自分の取り分が減ってしまいます。
ですので今回の記事では、巨大なITプロジェクトの食物連鎖を概観しながら どうやって浅い商流に食い込み、業務委託を受託していけばいいかについてご紹介いたします。
各商流での単価・お金の流れについても大公開しちゃいます。
IT業界の全体像を、お金の流れを含めて分かりやすく紹介している記事は、ちょっと他では見られないと思いますよ。
これがIT業界の食物連鎖です!【業務委託の流れ】
最初にこちらの図を10秒間じっくりとご覧ください。 これから一つ一つの要素をゆっくり説明していきます。
ユーザーからベンダーへの業務委託
IT業界は、システムを使う【ユーザー】と、システムを作る【ベンダー(SIer)】という区分けで大別されます。
【ユーザー】とは普通の事業会社のことです。会社内部に情報システム部を持ち、業務システムの運用・保守などを行なっております。
大企業になりますと、情報システム部の配下に情報システム子会社を持っていたりします。また、情報システム部の社員を支援するために、ITコンサルなどが業務委託で入っていることもあります。
【ベンダー】はユーザーから業務委託でシステム開発を行う企業です。SIer(えすあいやー)とも呼ばれます。ベンダーは受託した開発プロジェクトの作業を詳細化し、工程ごとに再委託をしてシステムを構築し、ユーザーに納品します。
システム開発のプロジェクトは短期間に人手が必要となる労働集約型産業であるため、ベンダー配下の再委託には特有の多重請負構造が存在しています。
・IT業界はユーザーとベンダ(SIer)に分けられる
・ユーザーはシステムを使う
・ベンダー(SIer)はシステムを作る
・ベンダー(SIer)配下は多重請負構造になっている
日本とアメリカの文化の違い
日本の情報システム開発はこれまで、ユーザーはベンダーに業務委託で開発を丸投げをし、ベンダーがユーザーの協力を得ながらオーダーメイドの情報システムを作り上げるという手法が一般的でした。
現在でもその傾向は続いています。業務委託におけるユーザーとベンダーの力関係はまったく対等ではありあません。お客様は神様ですの日本の商習慣の中では、発言権などは圧倒的にユーザーの方が強く、ベンダーから見るとユーザーは神です。
ユーザーは、歴史的にベンダーへ丸投げで業務委託をしてきておりますので、ユーザーの情報システム部は体制があまり強くないことも多いです。
取れた予算をまとめて払うから、これであと全部やっちゃってよろしく~~
一方アメリカでは、ベンダーへの丸投げ業務委託ではなく、ユーザー内部のエンジニアが中心となって自社でシステム開発が行われてきました。 エンジニアといえば、どこかのユーザーのIT部門に所属していることが通常です。
・日本はベンダーに丸投げ業務委託が多い
・アメリカはユーザーが自社開発が中心
ケビンはどのポジションで業務委託を受けてるのか
私はもともと、元請ベンダーにおりまして、ベンダー側のIT土方業界では、食物連鎖のトップで仕事を発注していました。
しかし、独立してフリーランスになってからは、ユーザーの情報システム部で社員支援を行うポジションに転身しております。
ユーザーにどういった商流で業務委託を受けるかと言いますと、だいたい下記の2パターンです。
- ユーザー → エージェント → 株式会社ケビン松永
- ユーザー → ITコンサル会社 → エージェント → 株式会社ケビン松永
もちろん、商流が1枚挟まれば実入りが減りますので、できればエージェントがユーザーから直接契約してくれるできる案件の方が嬉しいです。
・自分はベンダーからユーザー側へ転身
・ユーザーから1~2階層の商流で業務委託を受けられる
具体的な業務委託の1人月単価はいくぐらいから
そもそも論ですが、1人月の単価ってどうやって決まっているか知ってますか?
実は人月単価という概念はフワッとしていて、過去にユーザーとベンダーが締結した価格をベースにして 個別に基準価格を設定している感じです。
金融系や公共系は、ユーザーが基準となる人月単価を決めていたりしますが、正直言って、実態の原価などからは乖離してしまっているため 金額の折衝の材料としてはあんまり機能しておりません。
ベンダーは金額で先に見積もってから、基準単価で割り返してユーザー向けの工数に割り返したりしてます。
ユーザーもそれを知ってて、当事者全員が意味のない数字だということが分かってたりする。
もうそういうの、早く爆発してくれ!
それで、ユーザーに入ってるITコンサルファームは、ユーザーからかなり高い単価で業務委託を受けていたりします。ユーザーの相場にもよりますが、1人月は200万~250万ぐらいにも登ります。
そんなに大したことやってないのに、「コンサル」「ファーム」というイケてる語感がいいんですかね…。ベンダーの人にはちょっとショッキングな情報です。
話は脱線しますが、戦略系のコンサルとかはもっと高い単価で業務委託を受けられたりするんですけど、戦略案件とかは長くても3か月ぐらいなんですよね。
その点、ITコンサルは開発プロジェクトでも1~2年はかかりますし、社員代替で入る場合は特に期限ももなくずっと入場していられますので 戦略とITのコンサルを比較すると、ITのほうが安定はしている気がします。
不景気に突入した場合も、戦略の場合は決断一つでプロジェクトを凍結できるため、案件が消滅しますが ITの場合は開発プロジェクトを止めると余計に出費が嵩むため、少なくとも進行中のプロジェクトが終わるまでは続けられます。
・ユーザーに入れるコンサルは仕事のわりに単価が高い
・戦略コンサルに比較するとITコンサルは安定している
一方でベンダーに目を移すと、元請ベンダーであっても業務委託の単価は130万~160万ぐらいなもんです。
悲しいかな、やってる仕事内容はITコンサルと変わらないのにね。そして、元請ベンダーから再委託が重なっていくと、下流の会社・エンジニアが受け取る金額はどんどん下がっていきます。
先ほどお話しましたように、私はもともと元請ベンダーにおりましたが、ユーザーの人材募集の案件を1~2段階の商流を挟んだ上で業務委託を受けていくというポジションに転身しております。
その結果、
- 仕事内容はサラリーマン時代の主任級
- 収入はサラリーマン時代の役員級
という夢のようなことが実現できたという訳です。
日本におけるユーザーの丸投げ業務委託も変化してきている
先ほど、日本ではベンダーへの丸投げ業務委託の文化が根強いとお話しましたが、「ベンダー任せではいけない!」という機運も徐々に高まってきております。
最近は、ユーザーも自社の体制を強化して、ユーザー企業が主導で海外のベンダーを使ってシステム開発をしたり、ERPパッケージやクラウドサービスをなどを導入していく事例が増えてきております。
ただ、頑張ってはいるものの、いきなりはうまくは行ってないらしいです。やはりシステム開発の実力をアップさせるには、相応の体制確立とノウハウの蓄積が要ります。
また、ユーザーの情報システム部は引き続き貧弱ですし、高度なスキルを持つIT人材も供給不足であるため、ユーザー側の人員補強は引き続き必要な状況が続いております。
こういった時代の流れに沿って、自分はベンダー(SIer)からユーザーへ起死回生の転身を図ったわけです。
勝機しか感じない
ベンダーの業務委託に未来はあるか?
個人的な意見としては、国内のベンダーも無くならないとは思いますけど、今の売上・人員規模を将来に保っていけるかは甚だ疑問です。いや、ムリでしょ。
Amazonなんて、昨年度の研究開発費が2.5兆円ですからね。Alexaの開発に従事しているのが1万人とか言ってるし、投入している物量の桁が2桁ぐらい違う。
率直に申し上げて、これまで日本のシステム開発を牽引してきた国内ベンダー(SIer)は、これから冬の時代を迎えると思います。
企業としては持ちこたえるかもしれませんが、中で働く人のストレスと困窮は高まる一方だと感じます。
今すぐ辞める必要は全然ないとは思いますが、逃げ道は準備しておいた方がいいです。
「退路を断つ」のは絶対ダメ。常に逃げ道が確保されてるか確かめておこう。
自分がリストラされるかもしれない、という場面に追い込まれたことで、人生において常に準備をしておくことの重要性が「身に沁みて」理解できた。 このことがあって以来、仕事の節目ごとにきちんとレジュメを更新しているし、人材エージェントに定期的に会って、自分の「市場価値=年収」を確かめるとともに、どんな仕事に需要が大きいのか、それに対して自分のスキルはマッチしているのか、といった情報も集めるようにしている。 こうしておくことで、いざという時の「退路を確保」しているという安心感を持てるし、今の仕事でどんな成果を出すべきか、という点も明確になってくる。
だから、実際に辞める辞めないとは別問題で、もし辞めたとしたら自分の商品価値はどうなんだいうのを知っておくのは本当に重要です。
私も、とくさんのブログ読んで、自分の市場価値を知っておこうと思ったのが一番最初のきっかけでした。 ? ケビン松永 (@Canary_Kun) 2018年11月26日
今から数年後、あなたはやったことよりも、やらなかったことに失望する。
– マーク・トウェイン(小説家)-