どうも、ケビン松永と申します。
新卒で大手SIerに就職し、15年間システムエンジニアとしてサラリーマンをやっておりましたが、40歳の時に思い悩んだ末に独立してフリーランスSEに転身しました。
正月に実家に帰った時に、兄貴にこんなことを言われました。
フリーランスがお金良いって言っても、福利厚生費を引くと手取りは下がるんでしょ?
それを差し引いても手取りメチャ上がったわ。下がるんだったら会社なんて辞めねーよ
こちらの記事でご紹介してます通り、IT業界のフリーランス SE・エンジニアには多くの求人・仕事があり、サラリーマンの給与水準と比較すると、眼を見張る高単価の仕事も豊富にあります。
フリーランスSE・エンジニアの手取りをシミュレーションをする
ただ、いくらフリーランスSE・エンジニアの単価が高いと言っても、結局のところ手取り収入がいくらなのか分からないと、比較ができないですよね。
ですので、今回の記事では個人事業主の具体的なモデルケースを使って、手取り収入をシミュレーションしてみます。
手取り収入のシミュレーション方法
フリーランスSE・エンジニアの案件を見ると月額報酬80万円とか書いてありますが、実際に、そのままの金額が振り込まれる訳ではありません。
所得税の源泉徴収もありますし、振り込まれた金額から諸々の費用を払っていく必要があります。具体的には、下記の項目を控除して手取り収入を計算していきます。
- 所得税:エージェント会社から源泉徴収されます
- 住民税:市区町村から納付書がきます
- 国民健康保険:住民税同様に市区町村に支払いします
- 国民年金:日本年金機構に収めます
フリーランスになっても、所得税と住民税はサラリーマン時代とは変わりません。国民健康保険と国民年金については加入する社会制度が変わってきますので、掛金と給付がどう変わるのかは知っておいた方が良いです。
年金
サラリーマンが個人事業主になる場合は、加入する年金が厚生年金→国民年金になります。ざっくり、毎月の掛金も、もらえる金額も減ると思ってください。それをカバーするための国民年金基金という制度に加入することもできます。
健康保険
サラリーマンが個人事業主になる場合は、加入する健康保険が組合健保→国民健康保険になります。ここはわりと大きな差が出ます。
組合健保の場合、会社が保険料を負担してくれていますが、国民健康保険の場合は、事業主負担がなくなるため自己負担の保険料が上がります。
ざっくり1.7倍ぐらいだと思ってください。その他、出産手当金が無いとか傷病手当金が無いとか 国民健康保険になることによってカバーする範囲が狭くなるというのは注意が必要です。
ちなみに法人を設立する場合は
自分の法人を持つ場合はサラリーマン時代と同様に
- 年金 :厚生年金
- 健康保険 :協会けんぽ(組合健保)
となって、加入する制度としては変わりありません。しかし、事業主負担分を含めて、保険料を支払っていくことが必要となりますので、年収の15%程度の保険料負担が増えるとお考え下さい。
*後ほど裏ワザを解説します
モデルケースを使った手取り収入のシミュレーション
<前提条件>
- 本人が35歳(介護保険料なし)
- 世帯主収入は本人のみ
- 住まいは神奈川県川崎市
- 個人事業主としての経費は給与所得控除の金額で代替
手取り収入のシミュレーション結果
項目 | ケース1 | ケース2 | ケース3 | ケース4 |
月額報酬 | 60万 | 80万 | 100万 | 120万 |
年収 | 720万 | 960万 | 1200万 | 1440万 |
源泉徴収 (所得税10.21%) |
6.1万 | 8.2万 | 10.2万 | 12.3万 |
住民税 | 3.6万 | 5.2万 | 7.2万 | 9.1万 |
国民健康保険 | 4.3万 | 6.0万 | 6.4万 | 6.4万 |
国民年金 | 1.6万 | 1.6万 | 1.6万 | 1.6万 |
手取り収入 | 44.4万 | 59.0万 | 74.6万 | 90.6万 |
確定申告時 | 31.2万還付 | 16.5万還付 | 12万追加納付 | 61.5万追加納付 |
*個別ケースの正確な手取り収入計算は税理士にご相談ください。
手取り収入のポイント解説
さて、現在のご自身の手取り収入と比較してみるといかがでしょうか?
概算ではありますが手取り収入として具体的な数字を計算してみると、地に足の着いたフリーランスのリアルが見えてくると思います。
「月額80万円の案件であれば毎月の手取りは59万円」
「月額100万円の案件であれば毎月の手取りは74.6万円」
税金と社会保険料を合わせて、だいたい25%ぐらいのイメージですかね。もっともっと税金や社会保険料負担を減らして、手取り収入を増やしていきたいと考えるのであれば、経費をどう上手く取っていくかがポイントです。
クライアント先で準委任で働くフリーランスSE・エンジニアは、人件費以外には経費らしい経費がありませんので、本格的に節税をして手取り収入を増やしていくのであれば税理士さんを含めて検討していく必要があります。
社会保険料を減らして手取り収入を増やす裏ワザ
- 自分の法人を作ります
- 同時に個人事業主としても開業届を出します
- なんでも良いので法人としての売上を作ります(アフィリエイト、資産運用etc)
- 法人の役員として少額の給与を取ります(月5万円とか)
- 年金・健康保険は法人として加入し、月5万円の標準報酬に対して社会保険料を納めます
- フリーランスとしての仕事は、個人事業主として受託します
すると、あら不思議。
法人の役員として安い保険料で社会保険に入れ、個人事業主としてフリーランスで稼ぐという、良いとこ取りのスタイルが完成します。(適法です)
手取り収入を増やすために経費にできるもの一覧
- インターネットやwifiなどの通信費
- パソコン・ソフトなどの備品の購入
- プリンターのトナー・インク代
- 新聞・書籍・雑誌代
- 広告宣伝費・名刺作成費
- 交際接待費
- 交通費(電車代・ガソリン代・高速代・タクシー代)
ちゃんと公私混同なく「事業で使った」ことを証明できない経費は、税務調査があった場合に否認されますのでお気をつけください。
・フリーランスになると加入する社会保険が変わる
・会社員時代と比較すると手取り収入は増える
・さらに手取り収入を増やすために、さまざまな対応策(裏ワザ)がある
まあ考える要素は色々ありますけど、単純に月額報酬が増えれば手取り収入も増えます
It is never too late to become what you might have been.
なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない ー ジョージ・エリオット