自分は今年で40歳になりました。人生80年と考えたら、ちょうど折り返し地点です。
高校生の時に、担任の先生が言ってた言葉が記憶に蘇ります。
古代中国の孔子さんて、知ってる?思想家の
論語という書物の中で仰ってるんだよね。
「自分は十五歳のときに学問を志し始めた」
「三十歳にして独り立ちをし」
「四十歳で迷うことがなくなった」
40歳の事を【不惑】と呼ぶのも、この論語から来てるんだけどね。いやー、孔子先生すごいよ。さすが聖人だなって思う。
みんな、まだ10代だから分からないと思うけど
人生の先輩として教えておくね。
普通の人は逆だ。
40歳になるとね、すっごい惑うよ。
折り返し地点に立ってみて、自分の人生は本当にこれで良いのかって考える。40歳で迷わなくなるというのは聖人の域だね。
染みる、今になって染みるよ先生。
「なんか冴えない中年がウルセーこと言ってるな」とか思っててごめんなさい…。
50代〜60代をイメージしてみる
このサラリーマンの道を行けばどうなるものか
以前にお話しましたが、自分は入社以来、かなり上の方を見てキャリアを積んできたのですが、自分のポジションも上がるにつれ、実際の経営陣を目の当たりにしてくるようになると、少しづつ違和感を覚えていきました…。
- 意思とは関係なくスケジュールが詰め込まれ
- 夜は毎日接待で会食 ・上からは詰められ
- 事業はしがらみでコントロールが効かない
その一方で、社会的責任は非常に重くなります。地震が来て原発がメルトダウンしても、西日本が豪雨で水没して大規模停電になっても、24時間体制で呼び出しを食らって対策会議というのは絶対に避けられません…。
そして、もう一度給料表を見てみましょう。
役職 | 最速での出世 | 年収レンジ | 組織の売上規模 |
---|---|---|---|
部長級 | 40歳 | 1200-1400万 | 50億程度 |
本部長級 | 47歳 | 1500-1800万 | 200億程度 |
平役員 | 50歳 | 2000万程度 | 1000億以上 |
泥臭いハンズオンで、手離れ悪くて、責任がちょう重くて、何かあったら24時間体制ということを勘案すると、そうかーこれかーと自動的に感慨にふけります。
いいですか、皆さん。勘違いしないでくださいね。これはアップサイドです。
ダウンサイドはどうだろうか
悪目のシナリオを考えてみます。
- 思ったように成果が出せず、現状の職級かそのひとつ上ぐらいでキャリアが停滞する
- 勤めている会社または事業部門の業績が低迷し、事業再編で本体から切り離される
- リーマンショック級の不況で早期退職勧奨プログラムが発動され、50歳ぐらいで会社を離れることになる
あり得る。もうホント他人事だと思えないぐらいリアル。
自分の人生の仕上がりイメージ
若い頃は、「一日中寝ていたい」「ゲームやってマンガ読んで友達と遊んで暮らしたい」と思っていたこともありました。
でも、今はそうは考えておりません。
世の中の老人を見ていても、自分の父親を見ていても、時間を持て余すってけっこう辛そうです。
高齢者が活き活きと生きていくためには「きょうよう」と「きょういく」が必要と言われております。すなわち
- きょうよう:今日するべき用事
- きょういく:今日行くべきところ
のことです。
自分は、けっこう仕事が好きです。
仕事って、新しい人とも知り合うし、新しい知識や経験も要求されるし、社会に貢献している感覚も得られるし、なにより報酬だって得られる。
もし、歳を取った時の自分の「きょういく」と「きょうよう」が、これまでに培ってきた知識と経験を最大限に活用できる仕事だったら素敵だな感じます。
マンションの管理組合に苦言を呈していたり、市民運動で何でも反対していたり、病院の待合室に通って医療費の無駄遣いをしているのではなく
可能であれば、ビジネスとITに生涯現役で関わっていたいと思います。
・・・そういう観点で「サラリーマン」と「自営」を比較したら、「自営」が有利なのは自明でした。
今回の人生ではムリかなと考えていた
ただ、自分もモヤモヤを抱えつつも、「うーん、でも、起業とかはさすがにムリかな」となかば諦めていたというのが実情です。
だってさー、おっさんで、専業主婦と子供3人も抱えてるんですよ?
そこから、安定した正社員の境遇を捨てて独立するのなんて、ぶっちゃけマジで怖い。
「子供いなくて共働きだったらできたかもしれない」
「でも今回の人生ではムリかな。ちょっと手遅れ」
「もし来世があったら起業したい」
そう思っていた矢先に突き刺さる、全宅ツイのグルからの御言葉
※札束くんも現世の地主の一生をおえたら、カメムシ2万回ループです。
— 全宅ツイのグル (@emoyino) 2018年5月15日
そうだ、来世から自分もカメムシ2万回ループかもしれない。やりたいことは今の人生でやっておかねば。
人生は人生ゲーム
80年間の長い暇つぶし1位でゴールしても、お金をたくさん持っていても、終わりが来たら全部チャラ
ゲームなんだから、一番熱中できた人が本当の勝者
だから今日も精一杯、本気でルーレットを廻そう
— ケビン松永 (@Canary_Kun) 2018年1月7日
人生のお楽しみはこれからだ!
タイヤのダンロップ
獣医をしていたジョン・ボイド・ダンロップさん。47歳の時に、息子の自転車のタイヤがパンクしたのを見て、「タイヤのゴムが動物のお腹に似ている」って思ったんだって。
そして、息子のために獣医の技術を使って、世界初の空気入りタイヤを開発し、それがきっかけで本格的に事業を始めることになったんだと。
マクドナルド
マクドナルド兄弟からフランチャイズ権を買い取ったレイ・クロックさんは、当時52歳。糖尿病と関節炎で痛む足を引きずりながら全米中を駆け回っていたら、世界的な企業になっちゃった。
ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)
有名なカーネル・サンダースおじさんは、ガソリンスタンドの一角で小さなレストラン「サンダース・カフェ」をやってたの。
でも、ガソリンスタンドの倒産とか、「サンダース・カフェ」が火災で焼失するとか踏んだり蹴ったり。
そこでも諦めなかったサンダースおじさん。フライドチキンのレシピを教えてお金を取るというフランチャイズビジネスを始めた。当時カーネル・サンダースおじさんは60歳。
とりあえず今は、自分の心を落ち着かせるために、こんな感じの逸話を毎朝音読するようにしています。
人生に遅すぎるってことはない。(Never too late)
今後の展望とリスク
独立してから、いろいろと活動をしていて、自分の市場価値が見えてきた感じもあります。
まあ自分は、これまでの実績もありますし、資格も持ってますし、営業トークもできるので、とりあえず40代は生きていけるかなーと漠然と感じております。
独立して半年ぐらい頑張ってみて、ヤバイ!食っていけない!となったら、転職に切り替えてまた再就職するだけです…。
今後のリスクとして考えているのは下記の2点です。
リーマンショック級の不景気
不景気が来たらIT予算も絞られて、やっぱり仕事は減っていくでしょう。ただ一方で、不景気の局面では正社員のほうが辛い気もします。
生き残りを賭けた企業としては、固定費は削減したいものの、売上は減らしたくない。なので、正社員を解雇しつつ、その分の仕事を外注化するような動き方をするとも考えられます。だから自分のような、フリーランスは逆に有利な局面になるかもしれない(希望的観測)
年齢制限
現状、ご紹介いただく案件などには、やはり一定の年齢制限がついていたりします。50歳ぐらいまでとか、55歳ぐらいまでとか。
なので、高齢になってきた時に案件の間口が狭くなってくる可能性はあります。
ただその辺りは、今後の定年延長の議論の中で「年齢差別はしてはいけないよ」という指針が出されないかしら…と希望的観測を抱いております。
「年金の支給開始を70歳に引き上げるから、体が動く限りは働いてね」
「そのかわり、企業も高齢の従業員を年齢で差別をしてはいけないよ」
といった流れですね。
人生、自分が良いと考えた事を思いっきりやるだけです。それ以上に良い方法なんてありません。
— ケビン松永 (@Canary_Kun) 2017年9月22日
ここまで、長い連載にお付き合い頂きましてありがとうございました!
今回を持ちまして「15年勤めた企業を退職した理由」の連載は終了です。
・・・でも代わりに新しい連載を始めるよ!
- ケビンさー、独立して本当に食っていけるの?
- フリーランスって実際にいくらもらえるの?
- 仕事も不安定なんでしょ?
みんな、知りたいでしょ? 知りたいよね? ・・・知りたいって言ってください。。
40歳で企業を退職してフリーランスになったSIerくずれのITコンサルが、どのような仕事にありつけたのか。ちゃんと食っていけているのか。その謎を解き明かすべく取材班はアマゾンの奥地へ向かった。
乞うご期待!