【ケビン松永】はハーフみたいな名前ですが、これはハンドルネームで実際は生まれも育ちも純ドメスティックな日本人男性でございます。
中高生のときも、大学生の時も、英語は苦手でもなかったですが、ものすごく得意という訳でもありませんでした。
新卒の内定式で受けたTOEICの点数は650点。そこから10年ぐらい掛けながら、250点ぐらい点数を上げてきた感じです。
仕事の関係で1年間、アメリカに行くことになりました。家族帯同で渡米し、日本人としては単身で、ほかは全員外国人の現地のプロジェクトに入ることなります。
その期間中、英語学習について時間をとって考えてみました。
現地の海外赴任者とディスカッションしたり、英語学習に関する本を読んだり、現地のパブリック・スピーチのクラブに参加したりしながら、得られた貴重な知見を共有します。
今回は、記事を3回に分けてお送ります。
1回目はマインド編です。勉強前の7つの心構えについてご説明します。
ネイティブには絶対になれない
日本に居て、相手が留学経験者や海外勤務経験者だったりすると
「じゃあもう、英語はペラペラなんじゃないですか?」なんて言ったりしますよね。でもそう言うと、決まって
「いや~まぁ・・・」
という独特の歯切れの悪さが返ってくることがほとんどです。この歯切れの悪さは謙遜なのかな?と思っていましたが、自分が実際にアメリカで暮らしてみて、この歯切れの悪さの正体を理解することができました。
アメリカに行く前は
「1年も現地で過ごせばネイティブ並みの英語力が身につくのではないか」
と誰もが思うんですが、実際には、自分が想像しているほどには英語力は伸びないんです。
多くの人は
「英語力が伸びないのは自分の取り組み方が悪いんではないか」
と悶々としながらずっと現地で過ごし、自分の英語力が向上しているような気もせず、自分の英語に自信を失うばかり。
アメリカで2年間MBA留学をした人、4年間大学に通った人、5年間仕事で駐在している人でも似たような感じです。
生活をしていても、仕事をしていても、いろいろな場面で日々言葉の壁にぶつかる。
最終的には「まあ、英語は下手でもなんとか生きていけるし、仕事も致命的なミスはせずにやっていける」ぐらいの自信はつくのですが
それでも、英語については成功体験よりも挫折体験のほうが遥かに多い。なので、帰国後のコメントも歯切れが悪くなってしまうのです。
私は、現地で英語が達者な日本人を見かけると、こんな質問をするようにしていました。
「いつまで経っても自分の英語のイマイチ感が取れないんですけど、いつかブレークスルーが来るもんですか? それとも、モヤモヤした感じはずっと続きながらも、少しづつ階段を上っていく感じなんでしょうか」
答えは常に後者です。みんなモヤモヤしていました。たとえ、アメリカの大学を出て、アメリカ人と結婚して、10年以上アメリカで暮らしている人に聞いても、やっぱり英語で分からないことはたくさんあります。
英語ネイティブとは雲泥の差があります。語学には膨大な暗記と反復練習が必要であるため、もし本当にネイティブ並みになりたいのであれば、母国語を捨てる覚悟でコミットする必要があります。
日本に生活や仕事の拠点を持つ人にとっては、ネイティブ並みの英語力を身につけるのは、ほぼ不可能です。自分の人生にとって必要な英語力のレベルを早く見極め、英語学習に割り当てられる時間を確保し、それ以外の時間は別の活動に割り当てるべきです。
英語スキルの範囲は広い
一口に英語と言っても、そのスキルセットは非常に幅が広いです。
「これだけやっておけばOK!」
「この勉強法ならある日突然スラスラと頭に入ってくる」
というような話は絶対にありません。
大きく分けると
- Speaking
- Listening
- Writing
- Reading
- Vocabulary
- Pronunciation
という軸、そして
- カジュアル
- フォーマル
という軸があるかと思います。
【英語学習のスキルマップ:拡大してご覧ください】
スキルマップをもとに、自分の弱点や伸ばしたい分野を認識し、3ヶ月~半年ぐらいかけてその分野を強化して、少しづつ得意分野を広げていくというアプローチが現実的です。
インプット70% アウトプット30%
日本にいるときは、こんな意見を信じていました。
「日本人は英語の勉強ばっかりやっていて実際に使っていない。だから英語が使えない」 「文法やボキャブラリーは高いレベルなのに、会話となると一言も話せなくなってしまう」
アメリカに実際に行き
「もう勉強のステージは卒業して、とにかく英語を使おう!」
と思って取り組みました。 時間の比率を練習:本番=0:10にするように心がけました。
やってみた結果ですが、あんまり効率良くなかった…。
現在では、練習:本番=7:3ぐらいに保つのが最も効率が良いと考えます。
スポーツなどと同じように、地道なインプット・反復練習をしないままで実践ばかり行っていても、効果的な能力向上は望めません。
練習をしないまま、試合ばかりやっているようなもので効率が悪いです。外国語学の1ジャンルに「第二言語習得」という分野がありますが、その研究結果としても「大量のインプット、適量のアウトプット」という勉強方法を勧めています。
英語脳理論に惑わされるな
世の中には英語脳理論というものがあります。
あなたが知ってる英語学習法「3つの間違い」――日本人が英語を話せない理由とは?
1. 日本語を交えた英語学習法は間違い2. 分からない英単語を辞書で調べたり、暗記するのは間違い
3. 英文法を学ぶのは間違い
実際にアメリカに行ってみて、そして上記の英語脳理論を実践し続けてみて「ちょっとそれは違うんじゃないかな」と考えを改めました。
理由1:インプットのスピードが極端に遅くなる
英英辞典で調べ物すると、なんだか英語でなぞなぞ出されているみたいなんです。
poop: the act of passing waste from the bowel.
正解を知ると、もう時間の無駄だから早く言ってくれよ!と思います。
理由2:バイリンガルを目指したらセミリンガルに
アメリカに行ってみて、日本とアメリカのハーフの子、海外駐在員のお子さん等々、たくさん事例を目の当たりにしました。
その結果「子供の頃からアメリカで暮らしてれば、自然と子供はバイリンガルになる」というのは、幻想なんだなということが分かりました。
母国語が固定しない段階でアメリカに行った家庭のお子様は、本当に言語教育に注意を払わないと、母国語も外国語も中途半端なセミリンガルになってしまいます。日本語も英語も、その年齢での平均に遠く及ばない語彙しか身につけられません。
調べてみると、海外子女教育にはよくある悩みで「とにかくまずは母国語を固定しなさい」というのが基本的な指針となっておりました。
理由3:第二言語習得でも母国語の重要性が語られている
第二言語習得においては、外国語の習得は母国語を土台として学習すべしということを推奨しており、実証実験などもあります。
特に、具体的にイメージしづらい抽象概念について、外国語で学ぶのは至難の業です。
すでに母国語が固定している成人は、母国語を土台にして外国語を学ぶほうがすんなり習得できます。
英語スキルを定量的に管理する
繰り返しになりますが、語学には膨大な暗記と反復練習が必要であり、誰がやっても習得には時間がかかります。
その一方で、スキルが向上しているかどうか容易には把握できません。誰がやっても習得には時間がかかりますが、逆に「時間さえかければ誰でも能力向上できる」とも言えますので、モチベーションを保って、コツコツ継続していけるかどうかが鍵となります。
私の個人的な感覚でグローバル人材に必要な英語スキルと経験を後述しますので、定量的に目標を定めて自分のスキルと経験を定量的に管理してフォローしていくことを推奨します。
TOEICは悪者ではない
「TOEICの点数が高いからと言って英語力が高いわけではない」
そんな批判を耳にすることがあります。私もそう思います。でも同時に「TOEICの点数が低い人で、英語がデキるなんて人はいない」とも思います。
私は、「初級の英語力を測定する」という意味では、TOEICはよく出来たテストだと思います。
もしあなたがTOEICの点数が800点以下だったとしたら、TOEIC対策用の勉強をしたとしても絶対に無駄にはなりません。その範囲であれば、英語力とTOEICの点数は比例して向上すると思います。
ただし、もしあなたがTOEIC 900点以上のスコアホルダーだとしたら、無理に900点 を990点まで引き上げる必要はないと思います。
TOEICとは、別の観点の英語の勉強に時間と情熱を注ぐべきです。
人と比べる場面と比べない場面
英語は面白いもので、自分より少しでもレベルの高い人を見かけると
「わぁ~~ すごい~ ペラペラだ~ 」と見えてしまいます。
実際には、五十歩百歩のレベルだったとしても、自分の知らない表現を知ってたり、受け答えがスムーズだったりするとそう見えてしまうものです。
自分よりもレベルの高い人 を見ることでモチベーションが上がることもありますし、自己嫌悪に陥ることもあります。
自分よりもレベルの低い人 を見ることで、自分の進歩を感じることもあります。
個人的には、時には自分と他人を比べて、また時には「他人は関係ない、自分は自分」と言い聞かせ 、うまくモチベーションを保っていくといいのではないかと考えております。
以上、グローバル人材をめざす人のための英語勉強法の第1回目は、マインド編として「勉強前の7つの心構え」をご説明いたしました。
次回は「仲間と一緒に練習する重要性」についてご説明します!
乞うご期待