イントロダクション
やりたい事がなかなかできない
たしか、結婚をして、仕事もバカみたいに忙しくて、第一子を授かった頃で・・・自分のやりたい事がなかなか出来ないな~と、ストレスを感じていた頃だった気がします。
その時、ふと思ったんですよ。
「人がやりたい事ができない、続かないというのは、意思が強い弱いっていう以前にやりたい事をすぐに忘れちゃうって単純な問題なんじゃないかな~」って。
「そうそう、俺はあれがやりたかったんだ」と、何かのタイミングで思っても、次の瞬間には、そんなことも忘れてしまう。自分のやりたい事をどんどん忘れていってしまうのが、なんだか悲しく感じられました。もうちょっと、自分のやりたい事を忘れずに記録して、機会を見つけて実行に移して行きたいと思い、プライベートでも目標管理を始めることにしたんです。
自己管理の限界と、わんこそばのオバハン
私はもともと、意志の力による自己管理を放棄しています。そもそも自己管理なんて原理的に無理なんです。
自分は世の中で一番、自分の状況を理解してあげられるし、同情してあげられます。
- 監督と選手
- トレーナーとアスリート
- 映画監督と主演俳優
- 会社の取締役と執行役
何かを実行する人と、それを管理する人は分離したほうが良い結果が出るなんてのは当たり前です。
自分のプライベートの目標管理についても「自分の隣にわんこそばのオバハンみたいな人がいればいいのに」と思ってました。
自分のやりたい事を、ツルッと一口で食べられる量にしてタイミングよく自分の前にサッと出してくれる。自分は、その場その場で食べることに専念すればいい。 ・・・そんな環境が作れたら理想です。
人間はコンピュータと一緒!?
私は人間をコンピュータに例えるのが好きなんですが、人間もコンピュータも多くの成果を出すのに一番重要なのは「平均稼働率を高めに保って安定稼働する」ことだと思っています。
データセンターに置いてあるサーバーのCPU利用率って平均値にしてしまえば、数%程度なもんですよ。もし平均値を50%ぐらいまで引き上げられたら、劇的な費用対効果の向上です。常に100%で稼働するとオーバーヘッドも大きいですし、高負荷で故障率も高まりますのでやっぱり高めで安定稼働ってのが、一番多くの結果が出るんだと思っています。
同じような類推から、私は自分の稼働率を60%-70%ぐらいに保つ事を意識しています。なかなか100%は出せないし、出せたとしても疲れてしまって、その後しばらくリバウンドが来ます。稼働率60%-70%ぐらいで生きていれば、疲弊はしませんし、壊れません。
では、人間もコンピュータも平均稼働率を高く保つのに何が重要かと言うと、それはOS(オペレーティングシステム)なんですね。 特にジョブ管理。
目標管理においても、現在の稼働状況を逐一見ながら、ジョブの投入量を増やしたり減らしたりして、稼働率を60%-70%を保つことが一番が重要です。
自分の目標に追い詰められて、息苦しくなっていたら元も子もないですしね。自分でやっていて楽しいと感じるぐらいの負荷に調節するのが大事なポイントです。
目標の立て方
いつかはやりたい事リスト
私は「いつかはやりたい事リスト」を持っています。実現するのにちょっと時間ががかりそうなので、今はやれていないけど野望としては捨てていない事です。思いついたら即座にメモります。
年間目標の作成
毎年、年末年始にその年の目標を考えます。コーヒー屋にこもって、翌年はどんな年にしたいかな~とか1人ブレストをしながら考えます。
「いつかはやりたい事リスト」から持ってくることもあるんですが、そこには大抵「トライアスロンを完走する」とか書いてあるので、いや待てよ・・・俺フルマラソンも走ってないのにいきなりトライアスロンは無理だろ、まずはフルマラソンからか?
でも、子どもの面倒もあるし、そんなにトレーニング時間も取れないな。まずはハーフマラソンぐらいが妥当なラインじゃないか?みたいな感じで、「いつかはやりたい事リスト」からピックアップしたものを、少し分割してハードルを下げます。
SMARTな目標
良い目標を立てるにあたり、SMARTというフレームワークがあります。
- S: Specific (具体的である)
- M: Measurable (測定可能である)
- A: Achievable (達成可能である)
- R: Result Oriented, Related (成果に基づいている)
- T: Time-bounded (期限がある)
S: Specific (具体的である)
目標が具体的でないと、後から振り返ってみて「よし、この目標は達成したぞ!」と判定できません。結局、俺は英語を流暢に話せているのだろうか、洋画を字幕なしで見られているのだろうか・・・と思い悩むばかりなので、目標は具体的で達成条件が明確なものが好ましいです。
M: Measurable (測定可能である)
定量的に測定可能な目標ほど、達成条件も明確ですし、目標の進捗状況も明確になります。進捗状況が感じられないって、人間にとってすごくストレスです。
- 距離的には近道だけど、超渋滞していて、なかなか進まず20分かかるルート
- 距離的には少し遠回りだけど、空いていて、すんなり進んで22分かかるルート
Googleが2つのルートを出してきたら、どちらを選びます? 私は後者です。
A: Achievable (達成可能である)
達成不可能な目標を掲げても意味がありません。
R: Result Oriented, Related (成果に基づいている)
ちょっと個人の目標にはハマらないので「自分がワクワクすることである」と読み替えたほうがいいかもしれません。
T: Time-bounded (期限がある)
人間は期限から逆算して行動する習性があるとの事です。
夏休みの宿題は、夏休みが何ヶ月あろうと最終週にならないと着手できません。
コントロール可能な目標
SMARTのほかにももうひとつ大切な要素があります。それが、自分でコントロール可能かどうかです。
「1年間、震度5以上の地震に被災しない!」
そんな目標を掲げたとしても、天変地異は予測不可能ですので、自分で頑張れるところが少ないです。
同様に「売り上げ○○円達成!」というような目標も、勝負は時の運というところもあります。ワクワク感との兼ね合いもありますが、「顧客訪問回数:○○回」という目標のほうが、自分のコントロール下に置かれます。
うまく目標を調節しながら、SMARTかつコントロール可能な目標への落とし込みができるかどうかが、目標設定の要となります。
目標のクラスとカテゴリで分類
最初の頃は、私も大きな目標ばかりリストアップしてしまい、自分で自分の目標に縛られて、身動きが取れなくなってしまいがちでした。その反省から、数年ほど前から目標のクラス分けを行うようにしています。
- Aクラス:達成までに、コツコツ半年以上かかりそうなもの
- Bクラス:3ヶ月ぐらい頑張れば達成できそうなもの
- Cクラス:重い腰さえ上げれば、そこそこすぐに達成できそうなもの
大体例年、A:3個、 B:5個 C:12個 ぐらいになるようにしています。また挙げた目標を、[仕事][趣味][教養][家庭][健康][財産]の6ジャンルにカテゴリ分けします。
クラス・カテゴリで分類してみて無理がないか偏りがないか確認します。
目標のフォローアップ方法
フォローアップのタイミングを最初に決める
私は、目標管理で一番大事なのは
「定期的に目標を見る仕掛けを作って、目標の存在を忘れないこと」だと思っております。少なくとも月に1回、時間があれば2週に1回程度 自分の立てた目標をレビューする機会を作ります。
余談ですが、会社のMBOで立てた目標も、次回に見るのが半年後で、「ああ、そういえばそんな事書いたっけ」と感慨にふけっていてはいけません。できるだけ月間目標に分割して、こまめにフォローアップするなど工夫が必要です。
私は、年初にフォローアップのタイミングを決めてしまいます。月に1回、自分の目標管理のフォローアップを行うというのをスケジューラに1年間スバッと予定を一括入力し、さらにリマインダを仕掛けます。
さらにToDoリストとして使っているiPhoneアプリにも繰り返しタスクとして登録し、念入りにリマインダをセットしておきます。
フォローアップの方法
月に1回程度、自分の年間目標を取り出してみて、現在の進行状況を確認します。
これは進んでるな~、これは止まってるな~、これは今月やりたいな~ などなど
スタバでやったり、職場の会議室でやったり、自宅でやったり、場所と時間はその時々でいろいろです。時間は30分~1時間程度。
今月のスケジュールなどを考慮しながら、ちょっとづつ、目標を実際の行動にブレイクダウンして、じゃあ〇〇さんとスケジュール調整するかとか、これについて予約の電話をしようとか今月やりたい事をToDoリストに登録していきます。
全般的に私の調子がいい時は、このフォローアップが上手く行っている時です。ただ私も、目標管理を始めた1年目・2年目ぐらいは、年の後半から徐々にフォローアップが疎かになり、結局、途中から目標は放置されたまま年末を迎える事になってしまいました。
思えば当時は、これは止まってるな~という目標について、原因を分析して、対応方法を考えて・・・という1人特別プロジェクト進捗会議をやっていたんですね。
それでも結局うまく進まないので、だんだん目標を見るのも億劫になって、最終的には放置するにようになってしまったんだと思います。で、ある年からアプローチ方法を変えました。
目標は自由に変えていい
ある年から、自分の中でのルールを変えて「目標は月次のフォローアップのタイミングで自由に変えていい」という事にしました。
よくよく考えて見れば、自分のプライベートの目標は仕事上のコミットメントではないですか別に自分のやりたいように、自由に変えたっていいじゃないかと。
そもそも年初に立てる目標なんて、だいたいハードルが高いんですよ。目標を達成するために生きてる訳じゃないですし、他にもたくさんやる事ありますしね。それに、年初にワクワクしながら考えていた事でも、2ヶ月も経ってから改めて眺めてみると大してワクワクしないなと感じる事もたくさんあります。
そんな目標に固執してるから、途中から放置してしまうんだと考えるようになりました。
今では月次のフォローアップのタイミングで、各々の目標を見ながら「今でも本当に実現したいと思っているか、実現することを想像するとワクワクするか」という観点で、目標の見直しを行います。
目標を自由に変えていいというルールを導入した結果、月次のフォローアップが楽しくなり、年後半から放置されてしまうという事もなくなりました。
熱しやすくて移ろいやすい?
私は自分の事を、熱しやすくて移ろいやすい性格だと思っています。何か新しい事を始めると、わーっと熱中します。1ヶ月ぐらい経つと、気持ちが冷めるわけではないんですが、次の新しいことに目移りします。
色んな所を巡り巡って、何かのタイミングで前の興味に戻ってきたりもします。なので、自分の興味に合わせて目標もどんどん変化させて行きます。
実現可能なところまで目標のハードルも下げますし、自分の興味に応じて目標自体もどんどん変えてしまうので、ここ3年ほど、年末時点の目標の達成率は8割ぐらいで非常に高いです。
まあ、現実的にできることを目標にしてしまうので当たり前ですけどね。
まとめ
本エントリのまとめです。
- 意思に任せた自己管理には限界がある。フォローアップの方法を工夫する
- 目標は明確かつ達成可能なものに。できるだけ小さく分割し、数多く達成するようにする
- 定期的にフォローアップして進捗を確認。目標のハードルを下げてもいいし、目標自体を変えてもいい
目標と言うのはあくまで、目安とする道標であって、途中経過であり日本語で言うところのゴールとは少し異なります。私の場合は「自由に変えてもいい」とルールを緩和したことで、立てた目標を放置せず、低空飛行して続けることが出来るようになりました。
一番最初にお話したように、私は自分の稼働率を60-70%に保つ事を意識をしながらわんこそばのオバハンと、そばを食べる人を使い分けています。競争相手は「目標管理をしていない時の自分」なので、それと比べた時に、自分の目指すゴールに少しでも近づいていると感じられれば大成功だと思います。
皆さまの夢が、2019年の具体的な目標となり、実行に移されることをお祈り申し上げております。